私は客先常駐のSESとして約8年間、働いてきました。(過去形)
いまでこそメーカーの社内SEとして働いていますが、「客先常駐に戻りたい?」と聞かれれば即座に「いいえ」と首を横に振るぐらい嫌なのです。
『客先常駐』『SES』といった単語は検索かけてみるとネガティブなイメージが多いです。
今回の記事では私の体験談をもとにメリット・デメリットを3つずつ挙げてみました。
- 『客先常駐』の意味
- 『SES』の意味
- 客先常駐のSESのメリット・デメリット
- 客先常駐の平均的な期間
- 多重請負の構造のせいで年収が低い
客先常駐とSESとは?
所属会社からお客様(顧客)の職場で働く勤務形態を客先常駐と言います。
出社から退社まで1日の業務をお客様(顧客)でこなし、そのまま帰宅します。
IT業界ではよくある勤務形態で、検索するとネガティブな関連キーワードが表示されます。

System Engineering Serviceの頭文字をとってSESです。
ソフトウェアやシステム開発・保守・運用におけるサービス提供をSESと言います。
派遣会社から「うちの技術者(エンジニア)の労働を提供します」と考えると分かりやすいです。
ちなみにSESでも検索するとネガティブな関連キーワードが表示されます。

お客様(顧客)の職場で働く勤務形態をとっているエンジニアはすべて客先常駐のSESです。
逆にいうとお客様(顧客)の職場ではない場合は客先常駐ではなく、SESと言えます。
客先常駐とSESの違いを詳しく知りたい方、下記のnoteをご参考にどうぞ。


客先常駐のSESにおけるメリット・デメリットとは?
私は1社目で2年間、2社目で3年間、4社目で3年間の合計8年間、客先常駐のSESとして働いた経験があります。(ブログ主の経歴を参照)
8年間ずっと続けて働いてきた訳ではないですが、なかなかの年月で軽く引いています。
だからこそ転職する時の絶対NGの条件として、転職エージェントには伝えています。
『ぜったいに客先常駐のSESの求人だけは紹介しないでください』
客先常駐のSESすべてが悪いわけではありません。
ただソシャゲのガチャのようにあたりはずれがハッキリしているのです。
ソシャゲであれば諦めずに引き続ければ、いずれはSSRのキャラも引き当てられます。
しかし現実は履歴書に傷がついたり、精神が消耗することが多いのでオススメできません。
- さまざまな現場で働くことで幅広く知識や経験することができる
- 大手SI-erへの客先常駐が多く無理な残業時間や労働時間はない
- 他の協力会社(BP)の実情を知ることができる
- 客先常駐先の環境や人間関係によってあたりはずれがある
- 一貫したスキルを取得できずスキルアップできない
- 年収が低く、人事評価されにくい
客先常駐のSESにおける3つのメリット

- さまざまな現場で働くことで幅広く知識や経験することができる
- 無理な残業時間や労働時間は基本的にはない
- 他の協力会社のエンジニアと交流することができる
客先常駐のSESにおける3つのメリット①:さまざまな現場で働くことで幅広く知識や経験することができる
私の経験上、1つの現場で働いている期間は短くて6ヶ月、長くて約2年ほどでした。
厚生労働省の発表しているデータでも、『1年以上3年未満』がもっとも高く33%です。
つまり(長くとも)3年周期で別の現場で働くことになります。
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そもそも同じ業務ばかりしていてはエンジニアとしてスキルアップしにくいのです。
一定期間同じ現場で経験させたあと別の現場で違う経験させるジョブローテーションをとっている派遣会社も多いです。
私の場合もとある現場の環境ではLinuxサーバでした。
そのあとの別の現場ではWindowsサーバ、Solarisサーバとの混同だったりと客先のサーバ環境や業務内容もガラリと変わりました。
会社ごとに全く違う環境下で業務に取り組むことが出来るので、幅広い知識を習得や経験することが可能です。
客先常駐のSESにおける3つのメリット②:大手SI-erへの客先常駐が多く無理な残業時間や労働時間はない
客先常駐先の多くは日立製作所、NTTコミュニケーションズ、伊藤忠テクノソリューションズといった大手SI-erへの配属が多いです。
SI(system integration)+er(人物を表す接尾辞)を組み合わせた言葉です。
(読み方はエスアイアー)
システム開発におけるエンジニアの雇用やプロジェクトの企画や進捗管理、スケジュール調整、運用保守など業務内容は多岐にわたります。
私も傍で見ている限り人との折衝が多く、なかなか大変そうでした。
大手のSIerだと平均年収は700万円以上の待遇でお仕事されています。
誰しも名前くらいは知っている有名企業への客先常駐となります。
そのため社会的イメージの損失につながる過労死にならないよう、厳しく勤怠管理されています。
2020年10月現在、残業時間については月45時間以内、年間360時間以内と国から定められています。
私は繁忙期で多くて月30~40時間くらい、それ以外の月はまったく残業せず定時で帰っていました。
さらに所属会社にも毎月勤怠表を提出するため、客先常駐先と所属会社の両方が目を通すので必然的に無理な残業や労働が発生しにくいです。
客先常駐のSESにおける3つのメリット③:他の協力会社(BP)の実情を知ることができる
客先常駐のSESで働いていると自分の所属している会社以外からも、別の会社の人間もプロジェクトに参画していることが多くあります。
ビジネスパートナー(BP)さんとも呼ばれています。
同じプロジェクトに参画しているため、自然と仲良くなるんです。
「ボーナスうちでないんですよ~」
「夏期休暇は有給休暇を使わないと休めないんですよ」
「みなし残業制だから、20時間の残業しないと残業代でないんっす」
自分はそこで働いていないけど、協力会社の実情を情報と知れるんですよね。
そのため別の派遣会社と自分の所属会社との比較することも容易です。
ちなみに上の台詞は例えではなく実際に私が話した内容の一部です。
客先常駐のSESにおける3つのデメリット

- 客先常駐先の環境や人間関係によってあたりはずれがある
- 一貫したスキルを取得できずスキルアップできない
- 年収が低く、人事評価されにくい
客先常駐のSESにおける3つのデメリット①:客先常駐先の環境や人間関係によってあたりはずれがある
客先常駐先の人間関係、案件によってすべてが決まるといって過言ではありません。
ソーシャルゲームで例えるならガチャなんです。
(客先常駐ガチャ、SESガチャとも言います)
1回〇個の課金石を消費しランダムでキャラが出てきますよね。
強いキャラを当てられたらラッキーですが、たいがい弱いキャラばかり出てきます。
客先常駐でも同じことが言えるんです。
SSRやURのレアキャラのような強運を引くことはまずありません。
たいがい「え?なにこの職場」と思うことが多かったです。
「なんでこんなことも分からないんですか?」
「作業内容分かってます?」
「なぜ私が1から10まで教えなきゃいけないんですか」
右も左もわからずがむしゃらにやっていた最中、上司にパワハラされることがありました。
他の客先常駐先では予定よりも早く手順書を作成したにも関わらず、手順書を見る人が3人もいるため、結果的に予定よりも遅れてしまったことがありました。
どういうことかと言うと、手順書の確認者が3人もいるものだからそれぞれの観点も違うんですよね。
- Aさんから指摘が入る
- Aさんの指摘箇所を修正する
- BさんがAさんの修正箇所を指摘する
- Bさんの指摘箇所を修正する
- CさんがBさんの修正箇所を指摘する
- Cさんの指摘箇所を修正する
Aさん、Bさん、Cさんは同じ立場(役職)なので、それぞれ立てないといけないんです。
他にも手順書の本筋とは関係ない改行やら文脈の修正も加えた結果、予定も遅れてしまいました。
(なんて面倒くさいんだろ)と思い泣きそうになりながら、修正していましたね。
パワハラも手順書の件、どちらも客先常駐先の環境や人間関係が招いた不幸といえます。
客先常駐のSESにおける3つのデメリット②:一貫したスキルを取得できずスキルアップできない
メリットで『さまざまな現場で働くことで幅広く知識や経験することができる』と挙げました。
しかし逆に言えば知識の取得や経験は広く浅くなりがちなんです。
「Windowsサーバの運用保守の経験を生かし、Windowsサーバの環境下でスキルアップしていきたい」
仮にそんな希望があったとして所属している派遣会社にも言うのは自由です。
ただし希望はあくまで希望、叶うとは限らないのです。
たとえば「Linuxサーバの人員募集。未経験でも可」と案件募集があったとします。
派遣会社からすると、待機社員や契約終了する社員を案件に充てて利益を確保したいわけですよ。
社員の希望を派遣会社は100%叶えてくれる、確約してくれるとは限りません。
現実問題は1人でも待機社員を無くすために、何かしら案件に充てられます。
「一時的なものだから(その繰り返し)」
「スキルアップにもなるから(ならない)」
無職の人が社会復帰したいのであれば、アルバイトから始めるべきですよね。
街中のゴミ拾いとか、社長の金言を聞いて意識を高めてもあまり意味がありません。
結局は自分のやりたい(進むべき)スキルアップから遠回りし、月日を経過させがちです。
客先常駐のSESにおける3つのデメリット③:年収が低く、人事評価されにくい
客先常駐のプロジェクトは『多重請負』のピラミッド構造になっていることが多いです。
多重請負とはお客様(顧客)から請け負った業務を依頼料を中抜きし、別の企業に依頼をかけることです。

上記のイラストの例でいうと一次受けの企業は300万円の依頼料から100万円を自社の利益とし、200万円で二次受けに依頼をかけています。
以降はその繰り返しとなり、最終的には所属会社の社員の給料となります。
そのため所属会社の社員(エンジニア)がもらえるお金(給料)は減ってしまいます。
それぞれ〇次受けとなる会社が違えば、給料の格差も変わってきてしまうのは明白です。
私は1社目、2社目の時、年収250万円でした。
4社目の時で380万円でしたのでかなり低いといえます。
客先常駐なのでどうしても自己申告としか実績として評価されにくいです。
さらに所属会社も全社員を平等に評価基準できる仕組みを設けられていないのが現状の問題点です。
まとめ:客先常駐のSESの3つのメリット・デメリット
客先常駐のSESの3つのメリット・デメリットにまとめてみます。
- さまざまな現場で働くことで幅広く知識や経験することができる
- 大手SI-erへの客先常駐が多く無理な残業時間や労働時間はない
- 他の協力会社(BP)の実情を知ることができる
- 客先常駐先の環境や人間関係によってあたりはずれがある
- 一貫したスキルを取得できずスキルアップできない
- 年収が低く、人事評価されにくい
IT業界が全くの未経験ならば自分に合ったキャリアを模索できますし、キャリアップまでの下積みとして考えるのであれば私はアリ(賛成)だと思っています。
これから客先常駐のSESとして働く人はあくまで経験を積むための足掛かりとして利用されると良いでしょう。

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